法人破産(倒産)手続き後に社長の資産をどの程度守ることができるか
例えば、会社のみを破産して個人の破産をしなかった場合、個人の持ち物であれば、車などの資産が取られることはありません。
ただ、法人の借り入れの連帯保証人になっている方が多く、その場合社長個人も債務超過になっている可能性が高く、自己破産をせざるを得ない場合があるので、どうしても処分されることが多くなります。
法人と社長ともに破産した場合の、社長個人の資産が処分されるか残せるかについて
車
そうすると車を持っていかれる可能性がありますが、そこは車に対する評価額などの問題で場合によっては持っていかれない可能性もあります。
車が本当に低い評価を受けるかどうか、生活するのに車がどれくらい必要かというところがポイントになります。
持ち家
破産する社長さん名義の家を残すことは難しいです。
競売にかけられることもありますが、場合によっては債権者との交渉で親族等の第三者に家を買い取ってもらうことができるのか交渉をして住み続けることも検討してみることも重要です。
銀行が家の抵当権者であった場合は、交渉してお支払いし親族等の第三者に抵当権を移し、そして親族等の第三者と交渉の上家に住ませてもらうということを検討することもあります。
時計
価格にもよりますが時計は処分されないことが多いです。
高価品は持てない可能性が多いですが、そこは評価額や弁護士と管財人との交渉によって左右されるところでもあります。
例えば、ロレックスでも評価がピンキリです。
極端に言うとすごく古くてオーバーホールしても使えるかどうかというものについては、処分される様な評価額にならないこともあります。
破産時の持ち物の評価額の査定について
この評価額の査定は「買い取り業者」が行うことになり、弁護士や社長が自ら手配することもあります。
そこまでやるとなると、それなりの費用が発生することになりますが、丸投げせずに細かく適正に査定を行うことでどれだけの自由財産の範囲内でお金を残せるかというところが変わってきます。
※詳しくはお問い合わせください。
破産はお金をかけることで残せるお金も多くなる可能性がある
限度はありますが、査定にしてみても費用や手間暇をかければかけるほど、適切な評価のもと残せる金額が多くなる可能性があります。
それだけ手間暇をかけて査定等を行うので、結果的に残るお金も多くなる可能性があるということです。
逆に、費用や手間をかけずにやると、例えば適正な評価額ではなく不適切な評価額で処理されてしまうなどでずさんな方法で一緒に処分されてしまい結果的に残るお金等の自由財産も少なくなる傾向にあります。
なので「弁護士費用が安い」だけで決めてしまうと、当然手間暇をかけられないので、手元に残るお金等の自由財産も少なくなる恐れがあります(これは破産以外の手続きでも同様だと思います。)。
法人破産・倒産手続きを依頼する弁護士を探されるときには、最終的に社長の手元に残せるお金自由財産等(破産以外の手続きについても同様です)を確認してからご依頼を決めると、後悔する可能性を劇的に下げられるはずです。(※その範囲は当然のことながら限られております)
ただし、そうなると弁護士もその案件に集中して、間に合わせるので、その分が調整が必要となり、弁護士費用もそれなりに高くなります。
例)11月に破産の話をしていて、12月に最低限のお金が入る予定がある場合、11月の時点で開始決定を迎えておく必要がある。
破産の開始決定のタイミングが重要
例えば、今の会社と同時進行で何かお仕事をされていて、来月お金が入る予定があるとします。
その場合、来月超えて破産申し立てするとそのお金も処分されてしまうことになります。
来月に入ってくるお金をご自身の生活費として残したい場合、今月中に破産申し立て~開始決定まで得なければなりません。
ただし、そうなると弁護士もその案件に集中して、間に合わせるので他の依頼者に待っていただくことになり、弁護士費用もそれなりに高くなります。
例)11月に破産の話をしていて、12月にお金が入る予定がある場合、11月の時点で開始決定を迎えておく必要がある。
申し立て~開始決定までの期間
大阪地方裁判所の場合、申し立ての時点で書類などがしっかり整っていれば、2.3週間で開始決定が行われます。
書類に不備があるなど整っていなければ1か月2か月になることもあります。
開始決定を縮めるためには弁護士が裁判所に行って状況を説明するなどで手間暇がかかるため、やはりその分の費用がかかります。
どれだけお金をかけられるかというのは大きな要素
正直、どれだけお金かけて時間や手間今をかけられるかというのは、どの手つきを執るにしてもどれだけのお金を残すかという点でかなり大きい要素です。
安価な費用で受任してもらいたいという気持ちもわかりますが、
もし「少しでもお金を残したい」という希望があるのでしたら最終的に社長さんの手元に残るお金や今後の見通しを聞いてから弁護士を決めることをお勧めいたします。
担当弁護士が破産管財人を経験しているかどうか
弁護士が破産管財人を経験しているかどうかも、破産後の社長さんの利益に大きく関わります。
破産管財人とは?
破産の開始決定の後に裁判所から破産管財人が地域の弁護士の中から選定されます。
破産管財人は、債権調査や資産を現金にかえる換価(かんか)を行います。
つまり、どの資産がいくらで処分されるか、手元に残して良いかという判断が管財人によって行われ、それらは管財人の先見によって行われます。
法人及び代表者破産を依頼する弁護士に破産管財人の経験があると経験をもとにしたこれらの判断もできますが、それは過去の管財人経験によってしか得られないものです。
※当事務所の中辻弁護士は、破産管財人の経験があります。
破産管財人経験のある大阪の弁護士
大阪地裁裁判所の場合、およそ5年未満の弁護士は管財人に選ばれません。
また、裁判所から研修や経験等を踏まえて管財人となる弁護士の候補者を選任している傾向にありますので、ご依頼する弁護士がその経験を多数有しているかとうか確認してみるのは良いかもしれません。
法人破産を弁護士に依頼するうえで、この管財人等経験の有無を確認するということは、社長さんの破産後の人生を守ることに繋がるといっても過言ではありません。