就業規則を違反した社員への適切な処分方法
■就業規則違反には適切な処分が必要
就業規則は、企業におけるルールであり、それに違反した者には懲戒処分などの制裁を科すことが可能です。
もっとも、処分をする場合には、どの処分を選択するか、その処分の内容などに注意しなければ、会社がその従業員から訴えられ、敗訴してしまう可能性もあります。よって、処分をする場合には、その処分方法を誤らず、適切に行うことが必要となります。
■懲戒処分の種類
懲戒処分については、以下の7つの方法があります。
●戒告
懲戒処分の中で最も軽いもので、口頭や文書による注意をし、本人の反省を促すという程度にとどめるものをいいます。
●譴責(けんせき)処分
大体は戒告と同様ですが、一般的に始末書や顛末書といった文書の提出が求められる点で、戒告とは異なります。
●減給処分
給料から一定額を差し引きます。言及については、その上限が定められており、1回に減給できる額は1度の違反については平均賃金の半日分まで、総額が1ヶ月での支給額の10分の1を超えてはならないとされています(労働基準法91条)。
●出勤停止
出勤停止期間中は、その間の賃金は支給されず、また、勤続年数としても計算されません。
そして、一般的な企業では、1週間から1か月以内が出勤停止期間とされます。
●降格
役職や職位からの解任、職能資格の引き下げを行います。
これはあくまでも懲戒処分としての降格であり、人事異動における降格とは異なります。
●論旨解雇
論旨解雇とは、懲戒解雇になってもおかしくないような事態の場合に、会社側の酌量によってなされる措置です。
解雇であることには変わりありませんが、諭旨解雇の場合には期間内の退職届の提出を促し、労働者がそれに従えば依願退職となります。
なお、扱いとしては依願退職となりますが、退職金などについては満額支払われないといった措置も一般的です。
もっとも、就業規則の定め方によっては、懲戒処分である論旨解雇が、退職勧奨や論旨退職と考えられる場合もあるため、注意が必要です。
●(懲戒)解雇
解雇は、懲戒処分の中で最も重い処分であり、会社側が一方的に労働契約の解消を行うことになります。
これらの懲戒処分は、会社側が就業規則違反をした従業員に対して行う制裁であり、その従業員にとっては自身の地位や給料に関わる重大な問題です。よって、その執行については、細心の注意を払う必要があります。
まずはあらかじめどのような行為が懲戒の対象となるのかを明確にしていなければなりません。
次に、どの懲戒処分を選択するかについて、就業規則違反の程度や重大性に応じて適切に行わなければなりません。
軽い就業規則違反にも関わらず重い処分を科した場合、従業員側から不当な処分であるとして訴えられてしまう可能性があります。
また、「始末書提出」、「「減給処分」、「解雇」については、それぞれ法律上のルールがありますので、ルールを守って行う必要があります。
そして、実際に就業規則違反行為があった場合、違反行為をした従業員に対し、どのような行為が懲戒の対象となったのかを明確に伝えることが必要です。また、違反の事実につついての証拠を集めておきましょう。
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弁護士 中辻 大輔 (なかつじ だいすけ)
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- 平成31年 中辻綜合法律事務所設立
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弁護士 野村 倖基 (のむら こうき)
- 令和5年 弁護士登録
- 同年 中辻綜合法律事務所入所
- 大阪弁護士会

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