自己破産すると所有している車はどうなる?残す方法は?
自己破産手続きを考えているが、所有している車がどうなるのかわからないといったご相談をいただきます。
当記事では、自己破産をした場合の車の取り扱いやその他の財産についても解説をしていきます。
自己破産での財産の取り扱い
自己破産を行うと全ての財産が差し押さえられてしまうと考えている方がいらっしゃいます。
しかしながら実はこれは間違いです。
自己破産によっても差押えの対象とはならない財産のことを、自由財産といいます。
自由財産にはどのようなものがあるのかを、以下で解説していきます。
自由財産に該当するもの
自由財産に関しては法律に規定があります。
そこで対象となる法律を確認しつつ、ご紹介をしていきます。
新得財産
まずは自己破産手続き後に新規取得した財産です。
このような財産のことを新得財産といいます。
自己破産では給与債権についても差押えの対象となりますが、手続き開始決定後の給料日に支払われたものに関しては、差押えの対象とはならず、自由に使うことができます。
逆に手続き開始前に給料日があった場合には、没収の対象となってしまいます。
99万円以下の現金
次に99万円以下の現金です。
破産法34条3項1号では、「民事執行法第131条第3号に規定する額に2分の3を乗じた額の金銭」が自由財産になると規定しています。
そして民事執行法131条3号では「二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭」と規定されており、政令で定められている額が66万円です。
これを先ほどの破産法の条文に照らし合わせると66万円×3/2で99万円となります。
注意点としては、99万円の現金は銀行への預貯金が含まれていません。
差押禁止財産
次に差押禁止財産です。
これは国税徴収法に規定があるものであり、自己破産にも同じ内容が適用されます。
まずは、日用品など生活に不可欠なものです。
これには家具やテレビ、パソコンといった電化製品、衣服、寝具などが該当します。
電化製品については複数ある場合には原則として1個までの所持を認められることが多くなっています。
次に、精神生活の観点から不可欠なものです。
これは位牌や仏像などの祭祀関連のもの、表彰や勲章などの名誉に関連するもの、実印など職業や生活において欠くことができないもの、文房具などの親族の学習に必要な書籍や器具などが挙げられます。
差押禁止債権
最後に給与や退職金、社会保険制度に類する給付です。
先ほど給与債権は差し押さえられるという話をしましたが、これは全てを差し押さえられるわけではありません。
給与債権で差し押え可能なのは4分の1の範囲であり、4分の3は自由財産となります。
また、そのほかにも確定拠出型年金や退職金共済、失業保険などが自由財産の対象となります。
車を残す方法
上記で示した自由財産以外については、基本的に差押えの対象となります。
不動産、自動車などが対象となる財産の代表例といえるでしょう。
しかしながら、自動車がないと困ってしまうという方もいらっしゃると思います。
そこで自動車を残す方法について詳しく解説をしていきます。
自己破産では、価値が20万円以下の財産については処分されることがありません。
車を査定した際に、査定額が20万円以下となる場合には、自由財産として残すことができます。
そこで、自動車を残したい場合には、車の査定を中古車店などであらかじめ依頼しておくことをおすすめしています。
中古車店によっては査定書を出すことができない場合があるため、査定の際には弁護士と相談しておくとよいでしょう。
また自由財産の合計が車を含めても99万円以下となる場合には、車を残すことができる場合があります。
ほかにも車の法定耐用年数を経過している場合には、車の価値が0であると裁判所から判断されることがあります。
普通乗用自動車の場合には6年、軽自動車の場合には4年が法定耐用年数となっています。
ただし、高級車の場合にはこれらの期間を経過している場合であっても、価値が下がらないことが多く、裁判所から査定書の提出を求められることもあります。
車の名義人が自分以外である場合には、処分されることはありません。
自己破産は債務者名義の財産のみが処分の対象となるからです。
そのため、家族の名義であれば処分をされることはありません。
しかしながら、自己破産前に車の名義を変更すると、財産隠しとして自己破産が認められなくなってしまう場合があるため注意が必要となります。
もっとも、家族名義であったとしても、購入費用を債務者が出していた場合には、借金が増えた原因と判断されてしまうため、注意が必要となります。
最後は車がないと日常生活に著しく支障をきたす場合です。
これは通勤に必要である、買い物に利用したいといったような理由では認められません。
足に怪我や障害などがあり車がなければ移動が厳しいような場合など、著しく生活に支障が出る場合であれば車を残せる可能性があります。
まとめ
自己破産を考えているが、自動車を残したいというお悩みは非常に多くの方から相談される内容となっています。
状況によっては自動車を残して自己破産することが十分可能となっているため、一度専門家に相談することをおすすめしています。
自己破産は中辻綜合法律事務所におまかせください
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自己破産等の債務整理手続きについても、専門的に対応しているため、現在借金でお悩みの方は一度ご相談にお越しください。
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弁護士紹介
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弁護士 野村 倖基 (のむら こうき)
- 令和5年 弁護士登録
- 同年 中辻綜合法律事務所入所
- 大阪弁護士会
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