民事再生のメリット・デメリット
民事再生とは、会社が負っている借金(債務)を支払うことが現実的ではなくなった時に、債務の一部分をカットしてもらう裁判上の手続きのことをいいます。
民事再生は、具体的に、以下の手順に沿って進められます。
① 再生手続きの申立て
民事再生は、裁判上の手続きであるため、申立てを裁判所にする必要があります。なお、この時、裁判所に手続き費用を払うこととなります。
② 保全処分決定
申立てがされた後は、裁判所によって、保全処分決定がされます。これにより、債権者からの取り立て又は返済が一旦中止されます。
③ 債権者集会の開催
今までに会社と貸金契約を締結した債権者に対して、会社側が、民事再生をすることになった経緯と今後の返済計画についての説明をします。また、このとき債権者からの協力を得ることが出来るかどうかが今後の手続きで重要であると言えます。
④ 手続開始及び財産又は業務に関する報告
裁判所による手続開始がなされた後は、後述する再生計画案の参考とするため、会社側が裁判所に対して、現在所有している財産又は行なっている業務についての書面を提出する必要があります。
⑤ 再生計画案の作成及び決議
どれぐらいの債務をカットして、残りの債務をどれぐらいの期間で支払うのかといった計画案を作成し、債権者に承諾をもらう必要があります。なお、再生計画案が可決されるためには、出席した債権者の過半数が賛成し、賛成した債権者の債権額が総債権額の半分以上である必要があります。
以上が、民事再生の手続きの流れです。では、民事再生にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
■メリット
① 債務をカットでき、且つ経営を継続できる
債務を免除できる手続きには、民事再生の他にも「法人破産」という制度があります。
法人破産は、債務を全て免除できるという大きなメリットがあるのですが、その反面、業務を継続することは出来ず、会社を畳む必要があります。
民事再生は、法人破産とは異なり、制度を運用した後も業務を継続できるため、会社をそのまま継続したいという経営者にとっては、利便性があるでしょう。
② 債権者全員の賛成を得る必要がない
上述したように、民事再生を行うためには、再生計画案を作成し、債権者の賛成を得る必要があります。
ただ、これは債権者全員の賛成を得ることは必要とされていないため、一部反対する債権者がいても、債務を一部カットすることができます。
■デメリット
① 債権者の協力が必要
民事再生手続きをした後の債権者集会、再生計画案作成後の決議など、債権者の協力がなければ民事再生手続を行うことができません。これらの手続きを切り抜けるために、法律事務所にご相談されることをお勧めします。
② 民事再生には条件がある
民事再生は債務を一部カットしてもらうだけであり、残部の債務は引き続き弁済する義務を負います。よって、民事再生を行う会社は早期に黒字化することができるなど、調整によって経営が安定する企業であると判断されなければなりません。
よって、民事再生手続は、どの会社でも運用できるわけではないことに注意しなければなりません。
以上より、民事再生手続きは、自らの会社が運用できるか否かは法律上又は経済上の判断が必要となります。自らの会社が民事再生をする必要になると感じた時には、まずは法律事務所にご相談されることをお勧めします。
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