民事再生手続きをした場合の社員への影響
債務の返済ができなくなった場合には民事再生が行われることがあります。
民事再生の決定がされた場合、債権者の同意の下、決定された計画に沿って債務の弁済がなされ、事業の再生を図ります。
では、民事再生の決定があった場合、そこで働く社員はどうなるのでしょうか。
このページでは、民事再生手続きをした場合の社員への影響についてご紹介します。
■民事再生とは
民事再生とは、債務超過のおそれのある個人や法人が裁判所の関与の下で再生を図る手続きをいいます。
具体的には、裁判所の決定によって債務が大幅に圧縮され、これを分割して返済することとなります。手続きは、民事再生の申し立てを裁判所に対して行い、裁判所が民事再生手続きの決定をすること、再生計画案が行われ、再生計画の認可があることによって進みます。
民事再生の特徴は、会社が存続すること、経営陣の退任が求められていないことにあります。
すなわち、倒産手続きには、清算型の手続と再生型の手続があるところ、民事再生は会社が存続する再生型の手続に位置付けられます。
民事再生ができない場合に、破産の手続きに移行することはありますが、破産と異なり、会社を清算して消滅させることを目的とするものではありません。
また、経営陣は自身が有する経営権を手放すことが強制されていません。
■民事再生の決定があった場合の社員への影響
では、民事再生の決定があった場合、社員はどうなるのでしょうか。
上述のように、民事再生手続きは企業の存続を前提とする手続なので、清算型の手続とは異なり、社員を解雇する必要はありません。
最終的には、圧縮された債務の弁済と、会社の債権を目的としているため、会社の財産ともいえる社員を解雇せずに、維持することが求められます。
もっとも、債務の弁済に際して、経営状況の悪化を解消するために人件費を削減する必要が生じる場合があります。
この場合は、整理解雇として社員を解雇することがあり得るため、影響が必ずしもないわけではありません。
労働契約法上、労働者の解雇には「客観的に合理的な理由」「社会通念上の相当性」が要求され、整理解雇は専ら会社側の事情である点から要件が厳格化されています。
すなわち、解雇の必要性・人選の合理性・解雇回避努力・手続きの合理性が要求されています。
そのため、解雇に際しては、人選が不合理であったり、出向や配置転換等を通じて解雇を回避することができたにもかかわらず整理解雇をしたような場合には、解雇権の濫用があったとして、解雇が無効となる可能性があります。
解雇された社員は、会社都合退職となるため、失業保険を受け取ることができます。
また、会社の就業規則等に適うように退職金の支払いを受けることもできます。
社員に対する解雇の通知は解雇の効力の生じる30日前になされます。
これに違反する通知があった場合、違反する日数分の賃金を支払う義務を会社は負うこととなるため、注意が必要です。
以上のように、民事再生を行う場合、法律上社員の解雇は強制されていません。
会社が存続し、経営権も維持される点でメリットの多い破産手続きといえます。
民事再生の具体的な手続きや要件、進め方など、民事再生に関してお困りごと、疑問点がある方は、専門家に相談することが好ましいです。
中辻綜合法律事務所は、大阪市中央区を中心として、大阪市北区、大阪市西区、天王寺区、浪速区、福島区、都島区、淀川区、阿倍野区などの大阪府や、京都府、兵庫県で広くご相談を承っております。
民事再生についてお悩みの方は、中辻綜合法律事務所までお気軽にご相談ください。
お客様のニーズにこたえるよう、民事再生に精通した専門家がご対応いたします。
当事務所が提供する基礎知識
-
法人破産手続きにかか...
法人の破産手続きを考えているが、どれくらいの期間かかるのか等のご相談をいただくことがあります。当記事では、法人破産手続きにかかる期間や手続きについて詳しく解説をしていきます。破産手続きの基礎知識破産手続きは債務整理手続き […]
-
自己破産すると所有し...
自己破産手続きを考えているが、所有している車がどうなるのかわからないといったご相談をいただきます。当記事では、自己破産をした場合の車の取り扱いやその他の財産についても解説をしていきます。自己破産での財産の取り扱い自己破産 […]
-
刑事事件の示談を成立...
示談とは、民事上の加害者と被害者の間の和解を指します。あくまで民事上の和解であり、刑事上の責任がなくなるわけではありませんが、刑事上も大きなメリットがあります。このメリットは段階別に以下の3つが挙げられます。 […]
-
自己破産における免責...
現在借金問題でお困りの方は、債務整理手続きを視野に入れたことがあるという方が多いことと思います。債務整理手続きは主に、任意整理、個人再生、自己破産の3つがあります。任意整理と個人再生は、借金を減らしてもらった上で、3〜5 […]
-
違法にならない退職勧...
■退職勧奨とは「退職勧奨」とは、会社側から退職に向けて従業員を説得し、従業員の同意を得た上で退職させることを指します。一方的な会社からの意思表示により雇用契約を終了させる「解雇」とは異なるため、トラブルに発展するリスクは […]
-
自己破産による仕事へ...
■自己破産についてクレジットカードやローンなどは、お金を一時的に借りている状態(借金)であり、自身の収入に応じた支払い能力の合わせてその限度額を決めたりしています。近年では電子決済による支払いなどが流行っており、その支払 […]
よく検索されるキーワード
弁護士紹介
弁護士 中辻 大輔 (なかつじ だいすけ)
- 平成21年 弁護士登録
- 平成31年 中辻綜合法律事務所設立
- 大阪弁護士会
弁護士 野村 倖基 (のむら こうき)
- 令和5年 弁護士登録
- 同年 中辻綜合法律事務所入所
- 大阪弁護士会
![集合写真](https://nakatsuji-law.com/wp-content/themes/nakatsuji/img/base/staff.jpg)
事務所概要
倒産(再生)・中小企業の法律顧問(支援)・相続・交通事故等の民事から刑事まで幅広く手掛けております。迅速な処理と強力なサポートで、依頼者の利益のために結果を出せるよう尽力しています。
名称 | 中辻綜合法律事務所 |
---|---|
代表者 | 中辻 大輔(なかつじ だいすけ) |
所在地 | 〒540-0037 大阪府大阪市中央区内平野町2-3-14 ライオンズビル大手前1202号 |
TEL・FAX | TEL:06-6910-7370 / FAX:06-6910-7371 |
対応時間 | 平日 9:00~18:00 (事前予約で時間外も対応可能) |
定休日 | 土・日・祝 (事前予約で休日も対応可能) |
URL | 会社破産/倒産の特設サイト |